私はフルスタックQAにはなれない
はじめに
「フルスタックQA」についてイジられることがあります。
「あなたはいつまでにフルスタックQAになるの?」「どうなったらフルスタックQAになると言えるの?」「え?何と何と何したらフルスタックなんですか?」「テスターの分際でwww」とか言う人もいます。
ただ、よく考えると、私は「フルスタックQAになる」ということをあまり気にしてないと気がつきました。
それについてお気持ちを表明しておきたいと思います。
フルスタックQAってなんなの?
フルスタックQAとは、電通大の西先生がテスト設計コンテストで言い始めた概念だと認識しています。 しかし、私はそれらの考えを直接的に聞いて、正式に受け継いでいるわけではない点をご留意いただきたいです。
元々のフルスタックQAとは、すこし前にはやったフルスタックエンジニアの技術スタックをQAに置き換えたものでした。 アジャイル、リファクタリング、アーキテクチャ、CI/CDなど。
私も目指すところは同じかもしれません。 しかし、私はそれほど個別の技術要素に着目してはいません。
私にとってのフルスタックQAとは「価値を届けるためならなんでもする存在」です。
テストかもしれないし、テスト以外のエンジニアリングかもしれないし、マーケティング的なことかもしれないし、経営にも関わるかもしれません。
どんな手段を取っていようと、「価値を届けるためになんでもする」という状態を私は「フルスタックQA」だと思っています。
「なんでもできる」ではない
私は「なんでもしたい」と思っている。ただ、「なんでもできる」とは思ってはいません。
それぞれの領域にはそれぞれの専門性があることを尊重したいと考えています。
一方で、自分自身が自分の得意分野(私の場合はテスト)だけで満足して戦うことを私は望みません。 自分自身のケイパビリティを広げるために、専門性を増やしたいと思っています。
それは、「他の専門性と協働しない」ことではありません。 自分自身の専門性を増やしつつ、専門家と協働できる人間になりたいということだ。
自分1人でやるのではなく、さまざまな専門性を持つ人と協働して価値を届けたいと考えています。 なにより、結果として価値が届いていることが大事なのです。
「1人で全部できるフルスタックQA」は多分無理
「1人で全部できるフルスタックQA」は多分無理だと考えています。
無理だから会社があり、「全員参加」という品質管理の原則も存在するのではないだろうかと考えています。
たまに全部1人でやってる人はいます。 私はそうなりたいとは思っていないですし、できるとも思っていません。
この立場に矛盾があると指摘する人もいます。
しかし私の中の論理ではこの主張に矛盾はありません。
フルスタックQAは自己実現だけではない
私にとってのフルスタックQAは、自己実現のためだけではありません。 「状態」を示すものです。
私自身、「すべてできること」には興味がありません。 私自身のスキルセットが増えることは、私にとって価値があることではないのです。
私が本当にやりたいことは、私と関わる人々が、チームや会社や製品を通して、お客さまに価値を届けるために全力を注いでいることではないかと考えるようになりました。
QAとして「満足する」ということ
ある人に「どうなったら満足するのか」と問われたことがあります。
その時、私はそれにうまく答えられませんでした。 私自身、深く考えず「フルスタックQA」と言っていることもありました。
しかし、よく考えると、「フルスタック」の範囲や内容は、日々変化しうるものなのではと考えるようになりました。
5年前フルスタックエンジニアに求められていたスキルは今でもフルスタックのフルかといえるのでしょうか。
たとえば3年かけて必死になってフルスタックになったとしても、その時には必要とされているフルスタック像は変わっているのではないだろうかと考えました。
人はどうなったらフルスタックになるのでしょうか。 もしかしたらフルスタックQAの完成はしないのないでしょうか。
フルスタックQAは「アキレスと亀」のようでもあります。
だから、 「今からNヵ年計画でこれ、これ、これをやったらフルスタック」 とすることは私にとってあまり魅力的な取り組みではなかったのです。
注意:誰かがこれをやっていることを否定しているわけなく、自分自身にとって魅力がないという話です。
フルスタックQAになるのではなく、フルスタックQAを目指し続ける
私は「フルスタックQAになることへコミットメントする」ことにこだわりません。
ただ、「フルスタックQAを目指す」ことにはこだわっていきたいと考えています。
「フルスタックQAとは何か」を具体的な目標を定めてそれを達成したら満足するでしょうか?
おそらくしません。
そうではなく、フルスタックQAとは、私がQAを辞めるまで、追求し続けるものとして捉えていきたいです。
それに価値があるのかはわからない。ムダかもしれません。
だから、私と、私と同じ思いをしている人だけが目指せばいいと考えています。
それが世の中にとって良いかどうかは市場が決めることだと思います。 生き方として良いかどうかは私が死ぬときに決めることだと思います。
パーフェクトQAパーフェクトスタイル
フルスタックQAを目指すことを、私は「パーフェクトQAパーフェクトスタイル」と名付けたいです。
(次回へ続く)